自動車保険の契約(更新)時に確認すべき6つのポイント

自動車保険の新規契約や更新時には必ずチェックしておきたいポイントがいくつかあります。「万が一の事故の際に十分な補償を受けられるのか」「どのようなサービスが付いているのか」「保険料をもっと抑える方法はないのか」など、この記事では契約時や更新時に必ず目を通しておきたいチェックポイントを厳選して紹介しています。


金子 賢司
監修者:金子 賢司
保有資格:CFP、TLC(生命保険協会認定FP)、損害保険トータルプランナー
プロフィール:ファイナンシャルプランナーとして活動中(14年以上)。個人・法人のお金に関する相談、テレビ番組のコメンテーター、毎年約100件のセミナー講師なども務める。

自動車保険の契約(更新)時のチェックリスト

1.補償内容の過不足

自動車保険の契約(更新)時にまず確認しておきたいのは「補償内容に不足がないか」という点です。「万が一の事故の際に十分な保険金を受け取ることができるのか」「ニーズに応じて必要な特約が付帯されているのか」などについて事前によくチェックしておきましょう。

反対に他の保険で個人賠償責任特約を付けていたり、自転車保険に加入されている方は自動車保険で個人賠償責任特約を付ける必要はありません。損害保険では重複している補償があっても二重に保険金を受け取ることはできないので、無駄を省いて保険料を抑えましょう。

補償内容チェックポイント
対人・対物賠償保険億を超える賠償金に備えて「無制限」がおすすめ
人身傷害保険過失割合や示談交渉に左右されずに保険金が受け取れる、「車外・車内」の付帯がおすすめ
車両保険型式が古くなった車両に対しては「エコノミータイプ」や「補償を外す」ことも検討
個人賠償責任特約他の保険で特約を付けていたり自転車保険に加入している場合は付帯を外す
弁護士費用特約過失割合ゼロの事故に備えて付帯がおすすめ

型式が古くなった車両を対象にした車両保険では、一般車両保険(フルカバー)からエコノミータイプ(車対車+A)への変更も検討してみましょう。エコノミータイプでは「当て逃げ」や「自損事故」などは補償から外れますが、保険料が下がるので車の状況に応じて更新時にタイプを変更してみましょう。また思い切って車両保険を外してみるのも1つの選択肢です。

過失割合がゼロの事故の場合は、契約している保険会社が契約者に代わって示談交渉を行うことができません。このような場合に役立つのが「弁護士費用特約」で交通事故に詳しい弁護士が示談交渉を代行してくれたり、場合によっては裁判で相手方と争ってもらうことができます。大きな損害を受けた場合でも泣き寝入りししないために弁護士費用特約の付帯がおすすめです。

参考リンク:自動車保険におすすめの特約

補償の過不足をチェック

2.無料の付帯サービスについて

自動車保険の補償内容と同様にロードサービスや無料で付帯されているサービスについても点検しておきましょう。特に2年目以降の契約者には内容がグレードアップするサービスもあるので、乗り換えを検討されている方は乗り換え先のサービスとよく比較することが大事です。

また最近ではあおり運転が社会問題にもなっており、事故が起こった際に現場まで警備会社から緊急対処員を派遣してくれる「事故現場かけつけサービス」が注目されています。事故現場かけつけサービスは損保会社によって付帯されているところと付帯されていないところがあるので、契約(更新)時に確認してから申込みを行うようにしましょう。

各社のサービス比較
保険会社ロードサービスクラブオフサービス事故現場かけつけ
サービス
アクサダイレクト○ ※2年目以降グレードアップ×
イーデザイン損保×
SBI損保○ ※3年目以降グレードアップ××
おとなの自動車保険○ ※付帯なし選択可能×
ソニー損保○ ※2年目以降グレードアップ
チューリッヒ××
三井ダイレクト損保○ ※2年目以降グレードアップ○ ※2年目以降グレードアップ×
JA共済×△ ※夜間休日のみ

ロードサービスは2年目以降の契約者にはガソリン補給が無料になったり、ペットの宿泊費用も負担してくれるところもあるので契約内容を確認しておきましょう。またJAF会員の方はJAFのロードサービスを利用できるので、おとなの自動車保険で契約されている方はサービスを外すことによって保険料を抑えることができます。

また全国のさまざまなレジャー施設やホテル、飲食店などが優待価格で利用できる「クラブオフサービス」も自動車保険によって付帯されているかが異なります。2年目以降の契約者にはより割引率がアップする「VIP会員」にグレードアップされる損保会社もあるので、他社への乗り替えの前に十分に比較検討しておきましょう。

サービス内容を比較検討

3.記名被保険者や使用目的などの変更点

契約対象の車両を主に運転する「記名被保険者」や「使用目的」などを変更したい場合、更新時に手続きを行うと比較的簡単に変更することができます。また更新の度に「年齢条件」や「年間走行距離」については確認を行い、次回の契約における保険料についてもチェックしておきましょう。

変更点のチェックポイント
記名被保険者契約対象の車両を主に運転する人
年齢条件、補償範囲記名保険者の年齢によって保険料が変わる、運転者限定など補償範囲の見直しを
免許の種類記名被保険者がゴールド免許なら保険料の割引対象に
使用目的「業務用」「通勤・通学」「日常・レジャー」の中から適したものを選ぶ
年間走行距離前回契約時のオドメーターの数値と更新時の数字を比較して走行距離を測定
住所、主に運転する地域引越しで住所を変わった場合、主に運転する地域も修正

特に注意したいのは契約対象の車両を運転する人の「補償範囲」と「年齢条件」です。現在の契約において補償範囲が広すぎる場合は、契約期間中の運転状況などに応じて「家族限定」や「本人限定」など保険料がより安くなる補償範囲に変更してみましょう。

また運転する人の中で最も若い年齢を定めるのが年齢条件ですが、未成年者も運転できるように設定すると保険料が大きくアップしてしまいます。未成年者や年齢が若い人が1年の中で数回しか運転しないのであれば、「1日自動車保険」を活用すればトータルの保険料を抑えることもできるので更新時に年齢条件について一度見直してみましょう。

参考リンク
・東京海上日動:「ちょいのり保険
・三井住友海上:「1DAY保険

契約内容を変更して節約を

4.更新時のインターネット割引

ダイレクト型の自動車保険で契約する場合は、どの会社と契約をしても「インターネット割引」が適用されます。インターネット割引は損保会社によって金額が異なり、保険料に応じて割引額が変わるタイプと一律の割引額のタイプがあります。

注意しなければいけないのは、継続契約(更新)時のインターネット割引の割引額が新規契約時の割引額から下がってしまう損保会社があるという点です。

各社のインターネット割引比較
保険会社新規契約継続契約(更新)
アクサダイレクト最大20,000円最大5,000円
イーデザイン損保10,000円2,000円
SBI損保12,000円10,000円
おとなの自動車保険10,000円10,000円
ソニー損保10,000円2,000円
チューリッヒ最大20,000円最大5,000円
三井ダイレクト損保最大10,000円最大2%

2021年2月時点での各社のインターネット割引額は以上のようになっており、「おとなの自動車保険」以外のダイレクト型自動車保険では継続契約時にインターネット割引の割引額が下がります。等級が1つ上がったとしても新規契約時よりも保険料が上がってしまうこともあるので、更新までに余裕を持って見積もりを依頼し保険料を比較しておきましょう。

更新契約時の保険料を比較

5.過去1年間の事故件数

現在の契約中に事故を起こしたことがあり、保険金を請求している場合は更新時に等級が下がり「事故有係数」が適用されます。事故有係数が適用されると通常の保険料よりも割高になり、事故の内容に応じて3等級または1等級下がるため更新時の保険料が大きくアップします。

事故件数(保険金の請求回数)によっては更新を断られる場合があるので、日頃から安全運転を心がけることが大切です。

過去1年間の事故件数を確認

6.契約および更新ができる期間

自動車保険の更新を忘れてしまうと補償が無い状態で車を運転をしていることになり、事故を起こして多額の賠償金を請求されてもすべて自分で支払う必要があります。また更新手続きを行わないと等級がリセットされてしまい、改めて新規に契約した場合は6等級からスタートするので保険料が大きく上がってしまうことにもなりかねません。

新規契約の申込みができる期間、更新手続きを行える期間は保険会社によってそれぞれ定められているので、契約や更新を行いたい自動車保険が決まっている場合はできるだけ早く契約や更新の手続きを済ませておきましょう。

契約・更新ができる期間
保険会社新規契約更新更新期限
アクサダイレクト保険始期日の60日前
~前日まで
満期日の70日前
~前日まで
継続契約手続き期限から1ヶ月以内
イーデザイン損保保険始期日の70日前
~前日まで
満期日の70日前
~前日まで
継続契約手続き期限から30日以内
SBI損保保険始期日の75日前
~前日まで
満期日の75日前
~前日まで
継続契約手続き期限から6日以内 ※サポートデスクに要相談
おとなの自動車保険保険始期日の約90日前
~当日午後4時まで
満期日の65日前
~当日午後4時まで
継続契約手続き期限から180日以内
ソニー損保保険始期日の90日前
~前日まで
満期日の約65日前
~前日まで
継続契約手続き期限から30日以内
チューリッヒ保険始期日の90日前
~前日まで
満期日の約60日前
~前日まで
継続契約手続き期限から30日以内
三井ダイレクト損保保険始期日の60日前
~前日まで
満期日の約75日前
~前日まで
継続契約手続き期限から6ヶ月以内

更新手続きをうっかり忘れないように損保会社によっては「自動継続特約」を付けられる自動車保険もあります。自動継続契約を付けていると、契約者からの申し出がない限り前年と同じ補償内容で自動的に契約が更新されることになります。

ただし支払い期限までに保険料が支払われていないと契約が有効にならないので、定められた期限までに保険料の支払い手続きを完了させておくことが大事です。銀行口座から引き落としを指定されている場合は、指定の口座に十分な残高があるか確認しておきましょう。

自動車保険の契約(更新)時のチェックポイントのまとめ
契約(更新)時に確認しておきたいポイントは意外に多く、満期まで余裕をもって現在の自動車保険についてチェックしておきたいところです。2月、3月は自動車保険の更新が多い時期なので、継続契約を行うのか他社へ乗り換えるのか十分に検討されることをおすすめします。


監修者:金子賢司
金子FP
自動車保険の契約(更新)時に意外と見落としがちな点が車両保険の車両保険金額です。車両保険金額の下げ幅が非常に大きくなっていることがあるため、いざ自分の車が事故にあった場合でも修理代はできちんとカバーできるように契約内容を毎年確認しておきましょう。

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